F-toysが発売したフルアクションシリーズ第五弾「スピットファイアMk.9」について製作レビューします.
フルアクションシリーズ
フルアクションシリーズとは「実機の稼働箇所を可能な限り再現する」ことを目的とした飛行機プラモデルです.(F-toysは食玩という位置付けで販売していますが,実態はガムが一個入った塗装済みプラモデルです)
飛行機プラモデルは組み立て,塗装,そして飾るというのが世間の一般常識.
汗水流して作り込んだ完成品を手で触って遊ぶなんて到底できません…
でも,F-toysの開発したフルアクションシリーズは手で触って動かしながら遊ぶことを前提とした飛行機プラモデルなのです.
ちなみに可動箇所は以下の通り.
- 風防の開閉
- エルロン,フラップ,ラダー,エレベータ
- ランディングギアの昇降による飛行状態と着陸状態の切替
- 外板取り外しによる内部構造の視認
実機の稼働箇所のほとんどを動かすことが出来ます!
キット
今回製作するキットはイギリスを代表する名機「スピットファイアMk.9」で,フルアクションシリーズ第5弾になります.
箱絵には主な可動部分が白矢印で表現されており,実機の可動部分がほとんど動かせることが確認できます.
1BOX1個入りで全1種のため,1BOX購入で揃います.
またデカールバリエーションが5種類あり、お好みの所属機体を再現することが可能です。
パーツ構成の全体像はこんな感じランナーが4つ,主翼や胴体部は単体パーツです.
迷彩塗装もしっかり再現されています.
主翼とキャノピーがビニールで梱包してあり,他パーツとの接触によるキズ防止対策がされています.
塗膜を爪で強めに引っ掻いてみましたが,ほとんどキズはできず頑丈です.おそらくラッカー系.
これなら塗装が剥げる心配をせず組立に集中できますし,安心して触ることができます.
組立
ここからは実際の組立作業に入っていきます.
エンジン(ロールス・ルイスマーリン60系)
ロールス・ルイスマーリン60系エンジン
と聞いてもピンとくる方は少ないのではないでしょうか?
このエンジン,凄いんです!
第二次世界大戦期にドイツが高性能戦闘機Fw 190を投入したことで,イギリスは対抗できる戦闘機が必要となりました.
そこで登場するのがマーリン60系エンジン.
このマーリン60系エンジンをスピットファイアに搭載したところ性能が劇的に向上.スピットファイアⅨとして大量生産されドイツと戦いました.
また,高高度性能がいまいちだったアメリカ戦闘機P-51Aマスタングにマーリン60系エンジンを搭載したところ,世界最高峰のレシプロ戦闘機に変貌.
それほどに凄いエンジンなのです(゜o゜)
(ちなみにP-51AはV-1710エンジン,P-51Bからがマーリン60系エンジンを搭載しています.その後,P-51Dマスタングという世界最高傑作機が誕生しました.)
エンジンとそれを支えるフレームが細部まで再現されており,エンジン単体でも十分な見応えがあります.
筆者のキットはエンジンパーツの接着面にバリがあったのでデザインナイフで処理しています.綺麗に接着できないときはバリが邪魔をしていないか確認しましょう.
操縦席
コックピットの組立です.
燃料タンクや計器パネルのパーツも確認できます.
組立した操縦席はマーリンエンジンと合体します.
多色による色分けのおかげで見ごたえ十分です.
計器パネルの細部まで色分けされている点がGood!
胴体
胴体に操縦席とエンジンを接着した状態です.
胴体を接着するとマーリンエンジン上部とコックピットが見えて,エンジン支柱や燃料タンクはほとんど見えなくなってしまいます.
主翼・主脚
主翼と主脚のパーツです.フラップやエルロンは稼働するため別パーツとなっています.
主脚は片側3パーツと少なく,組みやすいです.
主翼の機銃はダボ穴が狭くてなかなか上手く組めないパーツがありました.ダボ穴を広げるかダボを切断することで解決できます.
接着の際はクリップ等で固定しましょう.
組んだだけだと隙間が発生しているので,クリップで密着させ接着剤で固定します.
エルロンとフラップに接着剤が付着しないよう注意してください.付着すると動かなくなります.
主翼が完成しました.
機銃が視認できます.画像では主脚を格納した状態となっています.
プロペラ・尾翼・キャノピーなど
マーリンエンジンによる大出力化により採用された4翅式ロートル・ジャブロ・プロペラやエンジンカバー,キャノピーなどのパーツです.
尾翼のエレベータは稼働しますので,接着しないように注意してください.
また,エレベーターパーツは左右の回転軸同士が繋がっていましたが,そのままだと干渉して動かないため分割しました.
これで上部の組立がほとんど終わり,スピットファイアの完成形に近づいてきました.
エルロンとエレベータが可動するため画像のように下げた状態にすることができます.
機体裏
組立てもいよいよラストスパート.
ラジエーター,ピトー管,尾輪のパーツを接着していきます.
・エンジン下にエンジンシリンダー冷却用のラジエータ,左右の主翼下にはマーリン60系エンジンの特徴である2段2速過給機の冷却用ラジエーターがあります.
主翼下にラジエータがあるかないかでスピットファイアシリーズの判別がある程度できます.
デカール
デカール貼り作業です.
まずはどの仕様にするか説明書を見ながら決めましょう.筆者は「イギリス空軍第315飛行隊」に決定.なんでもいい方にはオススメです!(^^)!
デカール貼り作業に使用する工具は画像のとおりです.
Mr.マークセッターを使用するとデカールがしっかり密着してくれるのでぜひとも使っていただきたい商品です.
使用するデカールを小分けに切り出しておくと作業しやすいです
完成
スピットファイアⅨが完成しました!
デカールが貼られたことでよりリアルな完成度になっています.
ご覧のようにエレベーターやラダーが自由に動かせます.
ちなみにエレベーターは一体パーツを分割したので左右別々に動かせますが,実機は左右別々に動くことはありません.
エンジンカバーや主翼の外板を外した状態です.
筆者としてはこの状態が一番のお気に入りです!(^^)!
エンジン部がとにかくカッコいい❗
ランディングギアもご覧のように可動します.
干渉部が多くて追加工が必要だった他の可動部と違い,ランディングギアは素組で問題なく可動します.
これは手で持って遊ぶ飛行状態です.
しかも,息を吹けばプロペラが勢いよく回転するので,よりリアルに楽しむことができます.
また,画像では紹介していませんがコックピットのキャノピーも開閉します.あまりスムーズには動きませんが.
というわけで,フルアクションシリーズ第5弾の「スピットファイアMk.9」の完成です.
まとめ
F-toysが発売したフルアクションシリーズ第五弾「スピットファイアMk.9」について製作レビューしました.
やはり塗装済みキットはサクサク組めるので楽しいですね.さらに完成度も高いのですから筆者としてはとても満足しています.
スピットファイアを作りたいという方には間違いなくオススメできるキットです.
ただ、素組で組めるキットかと言われると微妙な感じです.今回の製作で筆者は以下の追加工をしています.
- エルロンの干渉部及びバリの除去
- エレベーターの分割化&干渉部除去
- その他バリの処理複数箇所
このようにデザインナイフを使用して干渉部を処理しています.可動部をスムーズに動かしたいなら仮組をして干渉部を特定・処理する必要があるので,この点がネックですね.
逆に,飾ることが目的で製作される方にとっては素組で問題ないと思います.
総合的にみて可動部に少し不安があるものの,他の飛行機プラモデルと比べ塗装済みというアドバンテージは揺るがないので,筆者としては初心者の方にもオススメできるキットとさせていただきます.
1~2日で完成させることが出来ますので,土曜日曜の週末モデリングとして製作してみてはいかがでしょうか?
そして,スピットファイアの魅力をお手に取ってご堪能ください(^_^)
以上,フルアクションシリーズ第5弾「スピットファイアMk.9」の製作レビューでした.
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