2019年11月より発売が開始されたF-toys「トムキャットメモリーズ」について製作レビューします.
結論
組立が難しく初心者の方にはオススメできないが,完成度はとても高い!
F-14 艦上戦闘機(愛称:トムキャット)
F-14(トムキャット)は、アメリカ合衆国のグラマン社が開発した艦上戦闘機です.
F-14(トムキャット)の戦闘シーンがある映画としてトム・クルーズ主演の「トップガン」がとても有名です.ちなみにトムが主演だからトムキャットと呼ばれるようになったわけではなく,「雄猫」を意味する愛称です.
そして,トムキャット最大の特徴である可変後退翼は,速度に応じて主翼を適切な後退角に自動調整する画期的なシステムを採用しています.
また,AIM-54 フェニックスという長距離空対空ミサイルを搭載できることでも有名です.
巨大なフェニックスミサイルを満載する姿は圧巻です.
キット内容
トムキャットメモリーズは全9種類+シークレットの合計10種類です.筆者は全て揃えるため箱買いをしました.
1箱10個入りで約6000円でしたので,トムキャット1個あたり600円とお手頃価格.
ただ,どの種類のトムキャットが入っているかは箱を開けてみないとわからないため,バラで買うとダブる可能性があります.全種類揃えたい方は箱買いがオススメ.
特定の機種だけ欲しい方はAmazonやヤフオクでバラ売りされているので,少し値段は高いですがそちらを購入しても良いと思います.
箱を開け1セット取り出しました.
トムキャットのスケールは1/144と,これまで集めてきたF-toys飛行機シリーズと同スケールです.第二次世界大戦の戦闘機と一緒に飾るのも面白いと思います.
塗装済みのキットはブリスターで保護されています.他に説明書とガムが入っています.
ちなみにガムの味はすぐになくなります.
F-toysの商品は基本的に半完成組立キットなので誰でもお手軽に作れるイメージがありますが,今回のトムキャットはどうなのか検証しつつ製作レビューしていきたいと思います.
組立説明書です.
簡単に説明されていますがよく見ると細かいパーツが多く,ピンセットなしで組むのは難しそうです.
説明書の裏側はデカールの貼り付け指示となっています.
デカールのバリエーションが多く選択肢は豊富です.
ブリスターを開封すると各ランナーとデカールが姿を表します.
各パーツが多色で塗装されており,細かい色分けは筆塗りされています.
組立
ここからは組立です.
可変翼
まず最初に胴体の可変翼から組立ます.
実は可変翼部分は既に組立済みの状態でブリスターに入っているんですが,諸事情により分解しました.
ブリスターから取り出した胴体の可変翼を動かしてみると左右の翼が非対称に動いていており落胆・・・改善することとなったのです.
胴体をバラすと可変翼のギミックが見えてきます.
中心の歯車2個を介して左右の可変翼が同時に動くようです.
この歯車と可変翼の噛み合わせがずれたことにより左右非対称に動いていました.
手を放すとバラバラになってしまうためマスキングテープで仮固定し,胴体の上部パーツを合わせれば組立完了!
のはずでした・・・
なんと可変翼の後部に胴体パーツ(黒色付近)が干渉し組めません.
後方からスライドさせればいいのでは?と思った方もいると思うんですが,ダボとダボ穴があるため真上から押し込んで組む必要がありスライドはできません.
ではどう組むのか?
先に胴体上部へ翼を組んでから胴体下部部品を組むようです.
しかし,可変機構の歯車は胴体下部パーツにあるため確実に歯車との噛み合わせがずれ可変翼が左右対称に動かなくなります.
もし運が良ければ合うかもしれません.
そんなレベルの話です.
とてもじゃありませんがそんな組み方はやりたくないので以下の方法を採用しました.
思い切って胴体上部パーツのダボを全て切断しました.
ダボがなくなったことにより,後方からスライドさせて組むことができました.
左右対称に動いているのも確認できました.
ダボを切断したため,接着剤でしっかり接着する必要があります.
洗濯バサミやクリップで固定してから流し込み接着剤を接着面に流し込むとしっかり接着できます.
操縦席
コックピットには緑色のパイロットが付属しています
パーツの合いは良好です.
ただ,機首の上下にゲート跡がクッキリ残っているのは少し残念です.
胴体
先ほど組立た操縦席と胴体を合体します.
機首と胴体はハメ合いがかなりきつく少し力が必要かもしれません.上手くいけばカポっとハマります.
垂直尾翼や水平尾翼エンジンノズルもここで組みます.
あっという間にトムキャットの形になりました.
ただ,操縦席と胴体の繋ぎ目は結構目立ちます.
胴体裏側
胴体裏側のパーツを組んでいくのですが,かなり細かいパーツが増えてきます.
また,ミサイル支柱のダボ穴が塗装で狭くなっており,ダボがはまらずとても組みにくいです.と言うより組めません.
追加工が必要なので初心者の方や工具がない方にとっては不親切な部分です.
ダボ穴を広げるのは面倒なので,ダボを全て切断してから接着することをオススメします.
苦戦しつつもなんとか組みました.
ミサイル支柱の組立が間違いなく鬼門となります.
組みやすくなるはずのダボとダボ穴も,組めなければ意味がありません.
塗装による厚み増加を考慮してダボとダボ穴のクリアランスを設計して欲しいところですが,塗料の厚みがバラつくのでそれも難しそうです…
主脚と前脚
次の鬼門となるのがこの主脚と前脚パーツです.
また,ピンセットがないとほぼ組めないと言っても過言ではないでしょう.
指で作業するとパーツを破損する可能性が高まります.
組み終わるとこんな感じです.
脚カバーはスムーズに組めましたが,前脚と主脚の支柱が胴体のダボ穴にハマりません.
力を入れたところ予想通り前脚の支柱を折りました・・・
筆者と同じ状況の方にオススメの組立方法は以下の通り.
- 支柱のダボを短く切断し,あくまでもダボは位置決め用と割り切る
- 短く切断したダボを胴体のダボ穴に合わせる
- 接着剤を流し込んでしっかり接着
この方法が確実だと思います.
トムキャットの組立はここで完了です!
デカール
仕上げに水転写デカールを貼っていきます.
今回製作したキットはデカールは2種類あり,どちらかを選択します.
第2次世界大戦の航空機と比べ少しデカールは多めですが,細部まで再現してあり完成度UPです.
垂直尾翼のデカールは他と比べ大きいので,位置を合わせるまでは水分をたっぷりつけた状態にしておきましょう.水分が少ないと密着してしまい位置合わせがやりにくく破ける可能性もあるので注意しましょう.
軟化&接着効果のあるMr.マークセッターを使用すれば完璧です.
デカール貼りが完了すると説明書上では完成となります.
しかし,ここでもうひと手間加えたいと思います.
それはスミ入れ作業です.
スミ入れ
今回のトムキャットはパネルラインのディテールが細かく再現されています.
そのためスミ入れでディテールを強調すれば一気に完成度が高まると確信したわけです.
スミ入れに使用した工具は以下の通り.
- スミ入れ塗料(ブラック)
- エナメル溶剤
- 筆
- スポイト
- 皿
- ティッシュ
左翼がスミ入れ後,右翼がスミ入れ前です.
左翼はパネルラインが強調されているのが確認できます.
スミ入れ方法について説明します.
- 筆にスミ入れ塗料を付けたら,縦方向に筆を走らせていきます.飛行中の空気が流れる方向です.画像の水平尾翼左側のような感じになっていればOKです.この段階では結構汚いというか筋になっていて大丈夫です.
- 次に,筆についたスミ入れ塗料をエナメル溶剤とティッシュで綺麗に落とします.
- 綺麗になった筆にエナメル溶剤を染み込ませ,先ほどの筋になっているスミ入れ部分をボカしていきます(薄くしながら整えていくイメージ).画像の水平尾翼右側が作業中の様子です.空気の流れる方向に筆を動かして余分なスミ入れ塗料を筆に染み込ませ,ティッシュで落とすという作業を繰り返します.
スミ入れ塗料はトムキャットの塗装を侵食しないため,何回もやり直せますので失敗を気にせず作業できます.ちなみに筆者は4回やり直しました.
完成
スミ入れ作業が終わり,ついに完成です.
F-toysトムキャットの完成度をご覧ください.
主翼:開状態
スミ入れをしたことでとてもリアルな仕上がりになりました.
パネルラインのディテールが素晴らしい.
機首のディテールはかなり細かく,モールドも深いのでスミ入れ塗料がしっかり残り強調されていまう.
デカールも含め情報量の密度が凄いです.
主翼や胴体のディテールもスミ入れで強調されており,見栄えがUPしています.
裏側
裏側もディテールが細かく再現され,デカールも貼ってあるので見劣りしません.
ただ,ミサイルはフェニックス満載状態が良かったなと個人的に思いました.
エンジンの可変ノズルは通常状態とアフターバーナー状態を選択できます.筆者は通常状態を選択.
選択肢があるのはありがたいです.
ただ,残念なのはエンジン内部・・・
ご覧のように再現度ゼロです.意外と見えるところなので配慮して欲しかったです.
主翼:閉状態
トムキャット最大の魅力である可変翼を閉じた高速状態です.かっこいい.
組立の苦労が報われた気がします.
ちなみに可変翼を動かす時は両方の翼を持って動かしましょう.片側だけ動かそうとすると壊れます.スムーズに動くので可変を楽しめます.
台座
台座が付属しているため,飛行状態で飾ることもできます.
注意:実機は主翼を閉じた状態で離陸しません.
いや~,完成度は本当に素晴らしい.
これで組みやすかったら最高だったんですが.
まとめ
F-toysのトムキャットメモリーズを製作してきて感じたのは以下の通りです.
良い点
・全パーツが塗装済みで色ムラもほとんどなし
・可変翼がスムーズに稼働する
・ディテールが細かくパネルラインのモールドが深いためスミ入れ効果絶大
・デカールの選択肢が豊富で再現度が高い
・トムキャットのカラーバリエーションが多い
・スミ入れをすると完成度が格段にUP↑
いまいちな点
・可変翼が左右非対称に動く場合がある(修正がめんどくさい)
・ダボとダボ穴のハメ合いが悪く、加工が必要(ミサイル支柱や主脚はほぼ組めない)
・機首のゲート跡や繋ぎ目が目立つ
・エンジン内部は再現されていない
組立当初から可変翼の組立やダボ穴が塗装で狭くなって上手くハマらないなど苦難はありましたが,デカールやディテールの細かさなど良い部分が出てきて最終的に満足できる完成度となりました.
誰でも組めるのか?と言われると,正直スキルや工具がない初心者の方には厳しいのではないかと思いました.上手く組めなかったり部品が破損するなどストレスが尋常ではないでしょう.
塗装済みでディテールも細かく,価格もそこまで高くないので,組立だけでもなんとか改善してもらえればより多くの方が楽しく作れるキットになるのではないかと感じます.
実に惜しい・・・
F-toysさんの商品は今回のトムキャットに限らず塗料のせいで組みにくくなっているキットが多いので,何かしらの対策をしていただけるととてもありがたいです.
以上,F-toys(エフトイズ) 1/144 F-14Aトムキャットメモリーズの製作レビューでした.
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